[東京 29日 ロイター] - 経済産業省が29日公表した2020年12月の鉱工業生産速報指数(速報)は前月比1.6%低下の93.2と、2カ月連続で低下した。自動車や汎用・業務用機械などの減産が響いた。ロイターの事前予測調査では同1.5%低下と予想されており、これを下回った。鉱工業生産指数はコロナ禍前は100前後のレンジで推移しており、これに比べると低水準が続いている。

<予測指数、「緊急事態」織り込まれていない可能性>

業種別では自動車、汎用・業務用機械、電気・情報通信が低下し、化学、電子部品・デバイスが上昇した。「6-10月大幅に生産・出荷をけん引した自動車が需要減で低下した」(経産省幹部)ほか、ボイラーやタービン、ノートパソコン、発電機などの減産が響いた。

予測指数は1月が前月比8.9%上昇、2月は同0.3%低下だった。半導体製造装置などの増産計画が寄与する。また昨年10-12月の生産実績は前四半期比で6.2%の上昇を確保しており、経済産業省は生産の基調判断を「持ち直している」で据え置いている。

予測指数が実現するなら、1月の生産指数は101.5となり、コロナ禍前の生産水準を回復する。

もっとも、予測指数は上振れ傾向があり、これを補正した試算値は前月比4.4%の上昇となる。この場合、1月の生産指数は97.3にとどまる。

また調査時期との関係で、1月に発令された緊急事態宣言の影響は十分織り込まれているとは言えない、として、経産省では「内外の感染症拡大リスクと1月以降の動向を注視」(幹部)している。

<2020年通年、過去最大のマイナス>

同時公表された2020年通年の鉱工業生産指数は前年比10.1%減の90.9となり、現行基準では最大の下落幅、最低の水準となった。

*内容を追加しました。

*経産省の発表資料は以下のURLでご覧ください。

http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/index.html [http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/index.html]