[ロンドン 27日 ロイター] - 国際決済銀行(BIS)が27日に公表した65の中央銀行を対象に実施した調査では、世界全人口の2割をカバーする地域の中銀が、今後3年以内に中央銀行デジタル通貨(CBDC)を発行する可能性が高いことが分かった。

現在はビットコインなど民間の暗号通貨の取引が拡大し、フェイスブックの「ディエム(旧リブラ)」計画など新たな暗号通貨発行の取り組みも浮上。中銀の間に、CBDCを発行して自らの通貨発行権を守ろうとの考えが広がっている。また主要国で政策金利がマイナス圏に突入して金融政策手段が枯渇する中で、CBDCが思い切った措置の導入に役立つとの期待もある。

今回の調査によると、全体の86%の中銀は、デジタル通貨のメリットと欠陥を研究していると回答した。一部は実現可能な制度を試しつつある。地域別では先進国よりも新興国や途上国の方がCBDCを発行する公算が大きいという。

昨年10月にはバハマ中銀が世界で最初のデジタル通貨「サンドドル」を発行した。ただ、短期ないし中期的にデジタル通貨を発行する「可能性がある」との見方を示した中銀は、昨年のわずか1行から、今回は全世界の2割にまで急増した形だ。

中国人民銀行は昨年8月、デジタル人民元の試験運用地域を3大都市圏に拡大し、4億人をカバーするまでになった。

一方、調査で25%余りの中銀がCBDCの発行権限を持っておらず、約48%はどうするか決めていないと答え、6割は短期ないし中期的に何らかのデジタル通貨を発行する公算は乏しいとみている。