[東京 27日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は27日、参院予算委員会で、日銀が保有している上場投資信託(ETF)について、今のところ12━13兆円程度の含み益があると述べた。保有ETFの損益分岐点は現時点で日経平均で2万1000円程度が見込まれるという。白真勲委員(立憲民主・社民)の質問に答えた。

日銀が2020年度上期までに受け取ったETFの分配金は累計で2兆4000億円。投資信託委託会社の手数料は「同時期までの累計で約2000億円と試算される」と述べた。

黒田総裁は、日銀のETF購入について、株価の上昇を目的としたものではなく、企業や家計の前向きな経済活動を支援していくものだと説明。昨年春、新型コロナウイルス感染症の影響で大きく不安定化した市場の動きを緩和する効果があったと述べた。

さらに、ETF購入は現行の金融政策の枠組みの中で行っているものであり、現時点で全体の政策の枠組みやETFの買い入れを止める考えはないとした。

(杉山健太郎)