[アムステルダム 25日 ロイター] - 米バイデン政権で気候変動対策の大統領特使に就任したジョン・ケリー元国務長官は25日、開発途上国に気候変動対策資金を支援する「公約を果たす」と表明した。

オランダがバーチャル形式で開催した「気候適応サミット」で述べた。これに先立ち、バイデン大統領は、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」への復帰を表明している。

ケリー特使は、米国が気候変動問題の国際会議に「再び参加できることを誇りに思う」と発言。バイデン政権は国内外の「気候変動対策に多額の投資を行う」と述べた。

投資の詳細は明らかにしなかったが、「この緊急課題に対応する」ため、米国の温室効果ガス削減に向けた新たな目標を近く発表する意向を示した。

ケリー特使は「気候変動対策資金に関する公約を果たす方針だ」とも表明。米国のオバマ政権は、開発途上国に気候変動対策資金を提供する国連の「緑の気候基金」に30億ドルを拠出する方針を示していたが、拠出額は10億ドルにとどまっている。

今回開催された気候適応サミットには、中国の韓正・副首相、ドイツのメルケル首相、フランスのマクロン大統領、英国のジョンソン首相らも参加。

世界最大の温室効果ガス排出国である中国の韓正・副首相は「あらゆる分野で気候リスクへの適応能力を高めるため、2035年までの新戦略」の策定を進めていると表明。ただ「(先進国が)途上国の適応を資金面・技術面で支援する対策を強化すべきだ」と述べた。

中国の習近平国家主席は昨年9月、2030年までに二酸化炭素排出量を減少に転じさせ、2060年までに実質ゼロにする目標を掲げた。

習主席は世界経済フォーラム(WEF)主催のオンライン会合で、この目標を達成するには「中国の極めて多大な努力が必要になる」と述べた。

気候適応サミットを主催した「気候変動適応グローバルセンター」は、気候変動の影響で、世界の食料生産が最大30%減少する可能性があると指摘。海面上昇や激しい暴風雨で沿岸部に住む多数の人々が移住を迫られる恐れがあるとの見方も示した。

国連は今月発表した報告書で、途上国の温暖化対策には年間約700億ドルの資金が必要になると試算。必要な資金は2030年までに1400億ー3000億ドルに急増する可能性があるとの見方を示した。