[ロンドン 24日 ロイター] - シンクタンクの英エンバーと独アゴラ・エネルギーウェンデが25日公表したリポートによると、2020年の欧州連合(EU)加盟27カ国の発電源に占める再生可能エネルギーの割合が化石燃料を初めて上回った。新規の再生エネ事業が稼働する一方で、石炭火力発電が縮小したことが背景。

エネルギーミックス(電源構成)の内訳は、風力や太陽光発電など再生エネの割合が38%、石炭やガスなど化石燃料は37%だった。

国別で再生エネ発電の割合が最も高かったのはデンマークで、発電源の61%を占めた。これにアイルランドの35%、ドイツの33%が続く。

それに対し、再生エネ発電の割合が最も低かったのはスロバキアとチェコで、ともに5%を下回った。

20年のEU域内の石炭火力発電の発電量は前年比20%減。15年比で半減した。

リポートは「ほぼ全ての加盟国で石炭火力発電が減少し、新型コロナウイルス感染拡大前からの石炭依存の低下傾向が続いた」としている。

欧州各国は二酸化炭素(CO2)排出削減目標の達成に向け、石炭火力発電所を段階的に閉鎖している。 新型コロナ禍に伴うロックダウン(都市封鎖)により電力価格が下落したのを受け、再生エネ発電のコスト低下に伴い割高になった一部の石炭火力発電所では損失が出ているという。