[ブリュッセル 25日 ロイター] - 欧州委員会のキリアキデス委員(保健衛生・食品安全担当)は25日、英アストラゼネカは新型コロナウイルスワクチンの供給遅延を巡る問題に十分に対応していないと批判した。

アストラゼネカは22日、欧州連合(EU)に対し、3月末までの供給合意が順守できない恐れがあると通告。関係筋によると、第1・四半期のワクチン供給量は合意水準を60%下回る3100万回分になる可能性がある。これに先立ち、米製薬大手ファイザーと独ビオンテックもEUにワクチンの供給ペースを落とさざるを得ないと伝えていた。

EUはアストラゼネカに対し、供給を柔軟に行う措置を模索すると同時に、ワクチン生産と供給を巡るデータを公表するよう要請。ただキリアキデス委員は、アストラゼネカとの協議後、「満足できる回答は得られなかった」とし、今後も同社と協議を継続する方針を示した。

この日は欧州委のフォンデアライエン委員長がアストラゼネカのソリオ最高経営責任者(CEO)と電話会談を実施。アストラゼネカの広報担当者によると、ソリオCEOはフォンデアライエン委員長に、できるだけ早くEUにワクチンを供給するためにあらゆる手段を尽くしていると伝えた。

アストラゼネカのワクチン供給を巡っては、オーストリア保健相が記者団に対し、同社から「大幅な供給を巡る衝撃」に直面していると通告があったと表明。アストラゼネカは、世界的なワクチン供給状況についてコメントを控えている。

EUは29日にアストラゼネカ製ワクチンの使用を承認する見通し。