2021/1/19

【続出】ビットコインの2割が凍結「パスワード忘れ」の悲劇

「チャンスはあと2回」

サンフランシスコに住むドイツ生まれのプログラマー、ステファン・トーマスは追い詰められている。この記事の執筆時点で、約2億2000万ドルの価値があるパスワードを試すのに、チャンスはあと2回しかない。
それは、セキュリティ付きUSBメモリ「アイロンキー(IronKey)」のロック解除に必要なパスワードだ。このアイロンキーには、7002ビットコインが入ったデジタルウォレットへの秘密鍵が保存されている。
問題は、トーマスが何年も前にこのアイロンキーのパスワードを書いた紙をなくしてしまったことだ。パスワードを10回間違えるとロックされて内部情報に永久にアクセスできなくなる。トーマスはすでに、よく使っている8つのパスワードを試したが、どれも該当しなかった。
「ただベッドに横たわって、パスワードについて考えるんです」と、トーマスは言う。「そしていくつか新しい方法を思いついてコンピュータに向かうのですが、でもうまくいかない。そして再び絶望的な気持ちになるのです」
プログラマーのステファン・トーマスは、2億2000万ドル相当のビットコインにアクセスできないでいる(Nicholas Albrecht/The New York Times)