[ロンドン 15日 ロイター] - フランス石油大手トタルは15日、米国の主要な石油業界団体である米石油協会(API)からの脱退を発表した。世界の主要エネルギー企業では初のAPI脱退となる。APIの気候変動政策や、掘削規制緩和支持の姿勢との意見の不一致を理由としている。

トタルは、APIの気候変動に対する姿勢を検討した結果、2021年は会員資格を更新しないと表明。APIの姿勢が同社とは部分的にしか一致しなかったと説明した。

脱退は、米国の新政権下で予想される抜本的な政策転換を控えた直前の発表となった。バイデン次期米大統領は気候変動対策として、50年までに温室効果ガスの実質排出ゼロを目指すことを公約に掲げている。

温室効果が強いガスとされるメタンの、石油・天然ガス掘削業者に対する排出規制の緩和をAPIが支持していることなどが、トタルとの見解の相違点だ。

トタルのプヤンネ最高経営責任者(CEO)は「20年5月に公表した気候変動対策目標の一環として、われわれがめざしているのは、加入している業界団体が気候変動との闘いで当グループと一致した姿勢を取るよう努めることだ」と述べた。

APIは「世界のエネルギーと環境面での課題の大きさゆえに、解決には多くの異なるやり方が必要と考える。多様な意見はわれわれの利益となる」と表明し、トタルのこれまでの加盟に謝意を示した。