[ワシントン 15日 ロイター] - 米商務省が15日発表した2020年12月の小売売上高は前月比0.7%減と、落ち込みが続いた。新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるための封鎖措置が改めて導入される中、外食が減ったほか商業施設への客足が遠のいた。米経済が年末に大幅に減速したことを示した。市場予想は横ばいだった。

11月の小売売上高は当初発表の1.1%減から1.4%減へ下方改定された。

自動車・ガソリン・建設資材・外食を除くコア小売売上高は12月に1.9%減少。11月は当初発表の0.5%減から1.1%減へ下方改定された。コア売上高は国内総生産(GDP)の個人消費の構成要素と密接に連動する。

オックスフォード・エコノミクス(ニューヨーク)の米国担当シニアエコノミスト、リディア・バウサー氏は「公衆衛生状況を巡る不安やレイオフの増加、迫り来る失業給付の失効など、年末休暇の気分を台無しにする要因はいくらでもあった」と指摘した。

12月の雇用統計では、雇用者数が8カ月ぶりに減少した。1月の最初の週に失業保険申請件数が急増したことから1月も雇用が減った可能性がある。統計は第4・四半期に経済が急減速したとみるエコノミストの見方と一致する内容だ。

新型コロナの感染拡大や、企業や失業者に対する政府による支援策の承認の遅れが経済失速の要因。政府は12月末に9000億ドルの追加支援策を導入した。

バイデン次期米大統領は14日、1兆9000億ドル規模の追加支援対策案を公表した。新型コロナ対策の強化や、個人や中小企業への対応策が含まれる。追加対策や、ワクチン接種の迅速化により個人消費は21年下半期に加速するとみられる。

TSロンバード(ニューヨーク)の米国担当チーフエコノミスト、スティーブン・ブリッツ氏は「バイデン氏の景気対策を巡り、議会が一段と積極的に対応することが期待される」と指摘。「経済の落ち込みを引き起こしているのはコロナであって、経済に根本的な問題があるわけではない」と述べ、コロナへの対応として景気対策を実施することが重要だと強調した。

第4・四半期GDP予想は年率で約5%増。在庫投資が主な押し上げ要因となる見込みだ。

第3・四半期GDPは33.4%増だった。第2・四半期は31.4%減と、政府が統計を開始した1947年以来の大幅な落ち込みだった。

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