2021/1/18

【核心】生殖補助医療法はなぜ「残念な法律」なのか

NewsPicks編集部
昨年12月、「生殖補助医療法」が成立した。そこには、第三者から提供された精子・卵子で生まれた子の親子関係が初めて明記された。

そう、すでに提供精子を用いた不妊治療で1万人以上が国内で生まれているにも拘らず、親子関係という基本的なことすら、これまで規定されていなかったのだ。

成立を大きな進展として報じる記事も多かったが、その一方で、長年、法整備を求めてきた多くの関係者から落胆の声が上がっていることをご存じだろうか。

残された多くの課題、そして日本の政策に欠けている「リプロダクティブ・ライツ」の支援の必要性について、この問題に詳しい研究者の長沖暁子氏が解説する。
3つのポイント
① 今回成立した生殖補助医療法は、厚生科学審議会が2003年にまとめた報告書からも大きく後退する内容だ。
② 海外諸国では1990年代に生殖補助医療についての包括的な法律が作られ、各国の理念に基づき規制がなされている。
③ 今、日本で本当に必要なのは、生涯を通じた性と生殖の健康や、自己決定権を保障する「リプロダクティブ・ライツ」の支援だ。

十分な審議なしに成立