[ワシントン 12日 ロイター] - トランプ米大統領の支持者が議会議事堂に乱入した問題を受けて、民主党が下院に提出したトランプ氏の弾劾決議案を巡り、少なくとも4人の共和党議員が賛成票を投じる考えを示した。一方、ペンス副大統領は、合衆国憲法修正25条を発動してトランプ氏を罷免することに反対する考えを表明した。

トランプ氏の任期満了まであと残すところ8日間となる13日、下院は弾劾訴追決議案を採決に付す方針。可決されれば、上院が弾劾裁判を開いて罷免するかどうか評決を下すことになるが、時間的な制約があり、政治的な思惑も交錯する中で、罷免に至るかどうかは不透明だ。

下院では現在、ペンス副大統領に対し、大統領が「職務遂行不能」と判断された場合の対応を定めた憲法修正25条に基づきトランプ氏の解任を要求する決議案について審議しているが、ペンス氏は、民主党のペロシ下院議長に宛てた書簡で、解任に反対の意向を示した。

ペンス氏は「そうした行動が米国にとり最大の利益となり、合衆国憲法と一致しているとは思わない」と述べた。

ペンス氏の反対表明にもかかわらず、下院は、同決議案の手続き上のハードルをクリアし採決に向かっている。

弾劾決議案には、少なくとも4人の共和党の下院議員が支持を表明。トランプ大統領の共和党への影響力に陰りが見え始めた。これまでのところ、ジョン・カートコ氏、アダム・キンジンガー氏、フレッド・アプトン氏のほか、チェイニー元副大統領の娘で下院共和党ナンバー3のリズ・チェイニー氏が弾劾決議案に賛成票を投じるとしている。

チェイニー議員はトランプ氏の支持者が議会に乱入した問題について、「現職の米大統領がこれほどの裏切りに手を染めたことは、かつてなかった」と厳しく批判。トランプ氏が「暴徒を招集・組織し、攻撃の火をつけた」と断じ「弾劾に賛成票を投じる」とした。

下院の共和党指導部は、弾劾決議案の採決を巡って、個人の良心の問題だとして、弾劾に反対票を投じるよう議員に働き掛けてはいない。

<トランプ氏、演説は「適切」>

一方、トランプ大統領は議会乱入事件後初めて公の場に姿を現したが、バイデン氏の大統領選勝利を否定するなどの、騒乱発生前に行った演説は「適切」だったとし、自身の責任を否定。記者団に対し「私の演説を読めば分かるが、私が言ったことは完全に適切だった」と語った。

13日の弾劾決議案採決のルールを決める会合で、民主党のデービッド・シシリン下院議員は、可決に十分な217人の賛同を得ている主張。トランプ氏は「この1週間の間に、正しいことをすることができた。にもかかわらず、辞任を拒否し、(乱入事件の)責任を認めず、悔恨の意も示していない」などと非難した。