[ロンドン 11日 ロイター] - 英金融業界団体は11日、欧州連合(EU)がロンドンの金融街シティーにEU金融市場への幅広いアクセスを認める可能性は低いと指摘し、最近の英国からのユーロ建て株取引の流出は恒久的なものだとの見解を示した。

英国のEU離脱後の移行期間は昨年末で終了。自由貿易協定(FTA)を含む将来関係に関する合意が結ばれたものの、金融市場アクセスは盛り込まれずに別個に扱われている。

先週4日にはロンドンから60億ユーロ(73億ドル)以上のユーロ建て株取引が一夜でEUの取引プラットフォームに移動し、ブレグジット(英のEU離脱)がシティーに与える影響が鮮明になった。

英金融業界団体UKファイナンスの幹部、コナー・ロウラー氏は議会の委員会で、EUは英国への依存度低下を狙っているため、シティーに対して「不必要な」アクセスは認めないだろうと指摘。「市場の分断化の始まり」だとし、「英国を離れた株式が回帰する動きはない」と述べた。

法律事務所シャーマン・アンド・スターリングの金融サービス担当弁護士、バーニー・レイノルズ氏はEUはロンドンからどれだけ金融活動を奪えるかを見極めてから市場アクセスについて明確な見解を示すだろうと予想。

英国とEU欧州委員会は規制上の協力について3月までの覚書締結を目指している。

英議会の別の公聴会で、欧州委の金融サービス部門の高官は覚書は双方の情報交換を可能にするが、「市場アクセス権の確保が目的にはならないだろう」と述べ、EUによる同等性評価のプロセスを制限することもないとした。

EUは外国の金融規制がEUと「同等」あるいは十分に整合性があると見なす場合、市場アクセスを与える。

ただ、同高官によると、英国は一部のEUルールから大幅に乖離したい考えで、EU自体も域内の規制を見直しているため、どちらも流動的であることから同等性評価が難しくなる見通し。

英国が同等性評価の制限といった「過剰な要求」をした場合は覚書の締結時期は後ずれするだろうとした。

EUは既に、英国のデリバティブ清算機関とアイルランドの証券決済に対し、時限的に域内市場へのアクセスを認めている。同高官は、他の分野についてもしかるべき手続きを踏むだろうと語った。