[ソウル 11日 ロイター] - 北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は11日、金正恩朝鮮労働党委員長が10日の党大会で党総書記に選出されたと伝えた。一方、正恩氏の妹の金与正氏は、党政治局員候補から外れた。

正恩氏は父親の故・金正日総書記の肩書を引き継いだことになる。おおむね象徴的な動きだが、正恩氏の権力基盤をいっそう固める狙いがあるとみられる。

KCNAによると、党大会は党総書記を「革命の先頭および指導と結束の中心」と位置付け、正恩氏を党総書記とする案を「全面的に承認」した。

北朝鮮大学院大学(ソウル)の梁茂進教授は「正恩氏が父親の肩書を引き継いだのは、父親や祖父(金日成主席)の地位に正式に加わったという自信の表れだ。また党のシステムを自分の周りに集約化させ独自支配を強化するという戦略的意図もうかがわれる」と述べた。

<与正氏は政治局員リストから外れる>

KCNAによると、与正氏は、引き続き党中央委員を務めるが、政治局員リストには入っていない。同氏はここ数年、影響力を急速に増し正恩氏の秘書的役割を担い、韓国特使や党第1副部長を務めていた。

韓国・慶南大学のLim Eul-chul教授は、与正氏の地位について「依然中央委員会のメンバーであり、他の重要ポストも担っており、結論を出すのは時期尚早だ」と述べた。

正恩氏の側近とされる趙甬元氏は指導部に相当する政治局常務委員に選ばれるとともに党中央軍事委員会にも入った。

失敗に終わった2019年の米朝首脳会談の準備調整役だった崔善姫(チェ・ソンヒ)第1外務次官は降格となった。

韓国の文在寅大統領は11日の新年の辞で、北朝鮮への働きかけを続ける方針を表明。「対話と共に繁栄することが朝鮮半島の和平プロセスを重要なけん引役」と述べた。

正恩氏は党大会中、米国を「最大の敵」と位置付け、新大統領が就任しても北朝鮮に対する敵対政策は変わらないという考えを示し、軍事装備の研究開発と核兵器増強をさらに推進する方針を示した。

文大統領は、バイデン次期米政権と緊密に協力する方針を示し、2022年の任期切れまで、途絶えている米朝協議や南北協議の再開に注力する方針を示した。

*金与正氏に関する情報や韓国大統領の発言などを追加しました。