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トランプ米大統領は27日、新型コロナウイルス禍に対応する9000億ドル(約93兆円)規模の追加経済対策法案と2021会計年度(20年10月-21年9月)歳出法案に署名、両法が成立した。

これにより、現在は暫定予算で動いている連邦政府の一部機関が29日から閉鎖される事態は回避される。

追加経済対策法案と1兆4000億ドル規模の歳出法案を合わせた計2兆3000億ドル規模の包括案は厳しい交渉の末、21日に上下両院を通過していた。トランプ氏はこれまで、個人向け直接給付額が不十分だとして経済対策法案に不満を表明していた。

トランプ氏は署名に際し、個人向け給付金の額を600ドルから2000ドルに置き換える是非を問う採決を議会で行うよう求めた。ただ、拘束力のない要求であり、両院を通過する可能性は低い。

トランプ氏の要求は民主党にとって渡りに船でもある。既に下院民主党は直接給付額を増やすための新たな法案の採決を28日に計画していた。この法案が下院を通過すれば、同党は上院でも採決するよう共和党のマコネル上院院内総務に圧力をかけることができる。

ペロシ下院議長は27日の声明で「大統領は直ちに議会共和党に妨害をやめさせ、直接給付金を2000ドルに引き上げるわれわれの単独法案の支持でトランプ氏と民主党の側に回るよう呼び掛けなくてはならない」と主張。「この法案に反対する全ての共和党議員の票は、家庭が直面する経済的苦境を否定し、米国民が必要とする支援を否定する票だ」とコメントした。

バイデン次期大統領は来年1月の政権発足後、さらなる景気刺激策を推し進めるとしている。ただ、議会共和党の賛同を得られるかどうかは分からない。上院の過半数議席を共和、民主のどちらの党が獲得するかは、1月5日に行われるジョージア州2議席の決選投票にかかっている。

トゥーミー上院議員ら一部の共和党議員は27日、トランプ氏に対し、追加の支援措置を求めるのであれば、法案に署名した後にすべきだと語っていた。

署名しないトランプ氏「混沌と窮状」招いたと記憶される-共和党議員

一方でトランプ氏は27日の声明で、法案から「無駄な項目は削られなければならない」という「強いメッセージ」を議会に送っていると説明。法案に印を付けて議員らに送り返し、同氏が無駄とみなす資金を法案から削るよう要求する意向を表明した。

原題:Trump Signs Virus Relief Bill After Panning $600 Checks (2)、Trump Signs Virus Relief Bill After Panning $600 Checks (3)(抜粋)

(ペロシ下院議長の声明などを追加して更新します)

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