[東京 28日 ロイター] - 経済産業省が28日公表した11月の鉱工業生産指数は前月比横ばいとなった。自動車の減産が響き、新型コロナウイルス感染急拡大で急減した春以来の回復の動きにブレーキがかかった。ロイターがまとめた民間調査機関の予測中央値は前月比1.2%増だった。

半導体製造装置や蒸気タービン、鉄鋼製品、液晶パネルなどの生産が伸びたが、自動車とその部品が4.7%減少し相殺した。無機・有機化学、プラスチック製品も減産となった。

自動車の減産について経産省では「北米、オーストラリア向け輸出の減少などが響いた」とみている。

指数の水準は95.2。78.7まで落ち込んだ5月から10月までは毎月増産、回復が続いていたが、100前後だったコロナ禍前の水準には達していない。

生産予測調査によると、12月は前月比1.1%の低下、2021年1月は同7.1%の上昇が見込まれている。基調判断は「持ち直している」との従来の表現を据え置いた。

もっとも企業の生産計画は上振れ傾向があり、これを考慮した試算値では12月は前月比2.3%低下。経産省では「最近の感染症拡大で経済が下振れするリスクには注意が必要」(幹部)と警戒している。

企業の生産計画が実現すれば、1月の生産水準は100.9となり、コロナ前の水準を回復する見通しだが、「実現するか不透明」(同)。生産計画は12月初めの企業計画を10日前後に集計しているため、英国・南アフリカで発見され日本国内でも感染例が確認された新型コロナ変異種の影響は「織り込まれていない可能性」がある、としている。

*内容を追加して再送します。

(竹本能文)