[東京 21日 ロイター] - 経済産業省は21日午後に開いた総合資源エネルギー調査会で、2050年の発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合を50―60%とすることを示した。今後の議論の参考値だとしている。政府は、再エネを50年における主力電源として最大限の導入を目指す方針を掲げており、今回の参考値をベースに議論を進め、課題の解決に取り組むことになる。

また、水素・アンモニアは10%前後、原子力発電は「確立した脱炭素電源として、安全性を大前提に一定規模の活用を目指す」と位置付け、二酸化炭素(CO2)の回収や有効利用と組み合わせた化石燃料、カーボンリサイクルと合わせて約30―40%の割合を賄うことを参考値とした。

経産省の担当者は「これは政府の目標ではない」とし、シナリオ分析、議論を深めるための目安と説明した。50年の脱炭素(カーボンゼロ)に向けては、この数値を参考値として、英国や欧州連合(EU)の例も参考にしながら、複数のシナリオを検討することになる。

2019年度の電源構成は、石炭32%、天然ガス37%と高水準になっているのに対し、再エネは18%、原子力は6%にとどまっている。日本は2011年の東日本大震災以降、原発が稼働停止する中、長期停止させていた火力の再稼働などによって電力供給力を確保してきたことから、火力が70%以上を占め安定供給電力としての役割を担ってきた一方で、CO2排出量の多さが問題となっている。

国内におけるCO2排出量の40%以上が火力発電に由来しており、そのうち約半数を石炭火力が占める。経産省の資料では、引き続き、供給力や調整電源として火力を残すことは必要とし「火力発電設備の脱炭素化を段階的に進めていくことが必要」としている。

(清水律子)