[ブリュッセル 10日 ロイター] - 欧州連合(EU)のミシェル大統領は10日、総額1兆8000億ユーロの2021─27年予算と新型コロナウイルス復興基金で合意したと述べた。承認を拒んでいたポーランドとハンガリーが受け入れに転じた。

EUはこの日から2日間の日程で首脳会議を開催。1兆1000億ユーロの多年度財政枠組み(MFF)と7500億ユーロのコロナ復興基金案について加盟国の合意が得られたことで、温室効果ガス排出量を2030年までに1990年水準から55%削減するという野心的な目標を設定できる可能性がある。

ミシェル大統領は「MFFと復興基金で合意が得られた。これを受け実施が可能になり、経済を再建できる。この予算と復興基金は、環境に優しく、かつデジタル化された社会に向けた変革の原動力となる」とツイッターに投稿した。

ポーランドとハンガリーはEU予算と復興基金について、資金アクセスを巡り法の支配の尊重が条件に盛り込まれたことに反発し承認を阻止していたが、議長国のドイツが提示した案を暫定的に受け入れた。

両国の合意を取り付けたことを受け、EU首脳は、資金アクセスを巡る法の支配はEU資金の正統的な利用を守ることのみを目的に客観的に適用されるとする宣言を採択する。また、EU協定から逸脱していないか、EUの最高裁判所に当たる欧州司法裁判所(ECJ)に判断を要請できることでも合意した。

首脳会議では、新型コロナウイルスワクチンや来年1月に発足する次期米政権との関係、東地中海の資源問題を巡る対トルコ制裁、対ロシア制裁の延長などを討議した。

ミシェル大統領の報道官によると、ウクライナ介入を受けロシアに課している経済制裁について、EUはロシアがミンスク和平合意の条件を履行していないと判断し、半年間延長することで合意した。

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