[ワシントン 10日 ロイター] - 米労働省が10日発表した12月5日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は85万3000件と、前週の71万6000件から予想以上に増加した。

新型コロナウイルス新規感染者の増加に伴う制限措置拡大が影響した。パンデミック(世界的大流行)に加え、追加の財政刺激策が導入されていない状況が経済に悪影響を及ぼしていることが改めて示された。

ロイターがまとめたエコノミスト予想は72万5000件だった。

MUFG(ニューヨーク)のチーフエコノミスト、クリス・ラプキー氏は「大量の失業が経済成長や需要を圧迫し続けている。議会が新たな救済策の採決をせずに手をこまねいていれば、全米の失業者の窮状は刻一刻と悪化していくだろう」と述べた。

調整前の新規失業保険申請件数は94万7504件と、前週から22万8982件急増した。コロナ禍で引き起こされた経済的な衝撃で申請件数の季節調整が難しくなっていることから、エコノミストは調整前の数字にも注目している。

11月28日までの1週間の失業保険受給総数は575万7000件と、前週から23万件増加。増加に転じるのは8月以降で初めて。

11月21日の週に何らかの失業保険を受けた人は1904万人と、前週から112万人減少。前年の同時期は153万人余りだった。

自営業者や単発の仕事を請け負う「ギグワーカー」などに適用されるパンデミック失業支援(PUA)を受けている人は856万人と、前週から31万人減少。失業保険の受給期間を最長13週延長するパンデミック緊急失業補償(PEUC)を受けている人は453万人と、前週から4万人減少した。双方を合わせた受給者数は約1300万人に達するが、両プログラムとも12月26日に失効する見通し。このためクリスマス休暇中に大勢の人が収入を失う恐れがある。

INGの国際チーフエコノミスト、ジェームズ・ナイトレー氏は、「おそらく3─4カ月間、規制が経済活動を圧迫する可能性があると覚悟する必要がある。今後数カ月で雇用が減少する恐れが高まっており、それも直接規制される消費者サービスを中心としたセクターだけではないだろう」と述べた。

*内容を追加しました。