[ワシントン 3日 ロイター] - ラトクリフ米国家情報長官は3日、世界の民主主義と自由にとって中国は第2次世界大戦後最大の脅威だと非難した。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のウェブサイトに掲載された寄稿で「中国政府が米国や地球全体を経済、軍事、技術的に支配しようとしているのは明白だ」と指摘。

「中国は今日の米国にとって最大の脅威であり、世界中の民主主義と自由にとって第2次世界大戦後最大の脅威だ」と強調した。

情報活動に配分される年間850億ドルの連邦予算の枠内で中国に充てるリソ-スを増やしたことも明らかにした。

ラトクリフ氏は、中国の経済スパイ活動が「窃盗、複製、置換」の3段階で行われており、中国の組織が米企業の知的財産を盗んで模倣し、国際市場で米企業に取って代わるという戦略だとした。

習近平国家主席が掲げる積極的な軍近代化を推進するため、中国が米国の防衛技術を盗んでいるとも主張した。

中国大使館の報道官は「事実を歪曲(わいきょく)」した偽善的なコメントだとしてこれを一蹴し、「米国側の一部の人が抱く根深い冷戦の考え方やイデオロギー的な偏見」を示すものだと批判した。

ラトクリフ氏はさらに、中国当局が「生物学的に能力を高めた兵士を生み出す」狙いで軍のメンバーに「人体実験」を実施したと指摘。詳細には触れなかった。

複数の米シンクタンクは中国が軍の戦略においてバイオ技術を重視する姿勢を強めていると報告しているが、ラトクリフ氏が主張するような実験に関する具体的な報告は公表していない。

米戦略国際問題研究所(CSIS)のアジア専門家ボニー・グレーザー氏はラトクリフ氏の寄稿について、来年1月にバイデン次期大統領が就任する前に中国に対する強硬姿勢を固めようとする狙いではないかと語った。

「バイデン氏の手を縛り、中国政策での調整余地を狭めようとする幅広い取り組みの一環のように見える」とした。

*内容を追加しました。