[30日 ロイター] - 米著名投資家ジム・ロジャーズ氏は30日、「ロイター・グローバル・インベストメント・アウトルック・サミット2020」で、金融市場にとって来年最大のリスクは、米政府の債務と米連邦準備理事会(FRB)の積極緩和に基づく空前の規模の紙幣増刷だとの見方を示した。

ヘッジファンドの先駆けとなったクォンタム・ファンドをジョージ・ソロス氏と共同で創設したことで知られるロジャーズ氏は、今後10年間は自身が経験した中で市場が一番難しい局面を迎えると警告。その理由として世界的な債務規模の大きさを挙げた。

ロジャーズ氏は「われわれが2008年にひどい目にあったのは債務が膨れ上がったせいだった。そして08年以降、世界中で債務がさらに急増している。今では正確な水準を測定できないほどだ」と述べた。

米大統領選で勝利を確実にしたバイデン前副大統領は、前FRB議長のジャネット・イエレン氏を次期財務長官に指名することを決めた。ロジャーズ氏は「もしイエレン氏が財務長官になれば、彼女は喜んで紙幣を刷り、財政支出に回す」と言い切った。

一方、ドルについてロジャーズ氏は「今は弱気派が多く通常ならこれは上昇につながるので、私は弱気にはなっていない」と語り、安全通貨としての魅力もあるとしている。

2000年代初めにいち早く商品市場の好況を予測した1人であるロジャーズ氏は、金と銀を現在の価格では買わず、押し目を待っていると表明。その上で「歴史的な値動きに照らすと銀は金に比べてずっと割安だ。私はいずれ両方(銀と金)を買うが、銀をより多く購入する」とも述べた。

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