[北京/シドニー 27日 ロイター] - 中国商務省は27日、オーストラリアから輸入するワインに対する暫定的な反ダンピング措置を28日に発動すると発表した。両国の通商・外交関係の緊張をさらに高める措置で、豪政府は反発している。

商務省の声明によると、反ダンピング調査対象となっているワインの輸入業者に対し、中国税関への保証金支払いが義務付けられる。保証金は当局が企業ごとに設定した比率に基づき計算されるという。

中国は8月に、アルコール飲料の業界団体「中国酒業協会」(CADA)の要請を受け、豪州からのワイン輸入に対する反ダンピング調査を開始。同協会は今月、豪州産ワインへの遡及的な輸入関税の適用を求めていた。

トレジャリー・ワインの製品の保証金率は169.3%と、声明に記載がある企業の中で最も多い。カセラワインズは160.2%、記載がない企業は212.1%。

商務省は実施期間は明らかにしていない。

オーストラリアのリトルプラウド農相は「今回の決定は深刻な懸念をもたらす動きであり、オーストラリアは精力的に戦っていく」との声明を発表。「オーストラリア政府は、国内のワイン生産者が中国で不当廉売しているとの主張を断固として認めない。そうした主張の根拠や証拠は全くないと引き続き認識している」と述べた。

豪中関係は、豪政府が新型コロナウイルスの起源解明調査を求めて以来、緊張が高まっている。

バーミンガム貿易相は、国内のワイン生産家にとって死活問題で正当化できない措置と批判。多くの産業が中国の貿易制裁の対象となり影響が深刻化していると指摘した。一連の中国の措置が、他の要因に対する反応ならば「世界貿易機関(WTO)加盟時の中国の約束と完全に合わない」と述べた。

中国は豪州産ワインの最大の輸出市場で、豪州の最大の貿易相手。豪政府によると、豪産ワインの輸出の37%が中国向け。

主要ワイン業界団体の代表は、中国市場からの締め出しとも言える措置だと指摘。

「高値でも買う人がいれば、販売を続ける業者もいるだろう。しかし、より関税が低い産地と競合するのは非常に難しい。みな他の市場を探している」と述べた。

上海のある豪産ワイン輸入業者はロイターに「少なくとも3カ月は輸入をストップして状況をみる。税関に保証金を納めることなど無理で、知り合いの輸入業者の多くが取引を止める方向だ」と語った。

*豪閣僚の発言などを加えて再送します。