[リマ 9日 ロイター] - ペルー議会(130議席)は9日、州知事時代の汚職疑惑を理由に、ビスカラ大統領の罷免を可決した。野党が過半数を握る議会で、罷免への賛成票は105票に上り、罷免可決に必要な87票を大幅に上回った。

ビスカラ氏は州知事時代、公共工事の入札で便宜を図る見返りに、企業から賄賂を受け取った疑いが持たれている。ビスカラ氏は、汚職疑惑について、「根拠がなく」「虚偽」だとして全面的に否定している。

ビスカラ氏は9日、罷免を巡る採決の前に、来年4月11日の大統領選のわずか数カ月前に同氏を罷免すれば「予測不可能な結果」が生じると警告していた。来年の大統領選でビスカラ氏は出馬の資格がない。

ペルーは、新型コロナウイルス流行に伴う景気低迷からの脱却を急ぐ中、ビスカラ大統領の罷免を受けて政治的な混乱に陥ることになる。

ビスカラ氏は9日夜に演説し、採決の結果を受け入れると表明。決定を覆すために法的措置を取るつもりはないとした。

ビスカラ氏は演説で「私はきょう、大統領官邸を去る。家に帰る」などと語った。

少数党である人民行動党に所属する議会議長のメリノ氏が、10日にも暫定的に大統領職に就き、来年7月末まで代行するとみられている。ビスカラ氏の大統領としての任期は、来年7月末に切れるはずだった。

メリノ氏は平静を呼び掛けた上で、4月11日の大統領選挙は予定通りに行われると強調した。

地元テレビ局とのインタビューで、選挙について「既に告示されている」とした。

ビスカラ氏の罷免を受けて、リマのサン・マルティン広場には同氏の支持者たちが集まっており、警察当局は警戒態勢を敷いている。

*内容を追加しました。