[東京 10日 ロイター] - 11月ロイター企業調査によると、来年に延期された東京五輪の開催について企業の支持は高く、開催を支持する企業が7割近くを占めた。何らかの観客制限は必要との見方が多く、景気押上げ効果は「限定的」との見方が大半を占めた。むしろ感染防止への工夫により開催を実施できるということ自体が世界へのメッセージになるとの見方も支持の背景となっている面もある。

この調査は10月26日から11月4日に実施。485社に送付し、回答社数はおよそ225社程度。

五輪開催について「開催すべき」との回答は68%、「中止すべき」は32%となった。開催支持が上回った背景には「リスクはあるが、国内消費にプラスになると考えられるため」(化学)との声や「経済を活性化させるための一つの起爆剤として」(運輸)など、なにがしか景気回復へのきっかけになるという期待感が大きい。

もっとも、景気への効果には、完全な開催が難しい状況にあるため、いまやそれほど大きな期待感はない。「開催の仕方次第」(放送業)とみられている。「大きな押上げ効果がある」としたのは11%にとどまる。「海外からの訪日客が少なければ、効果は限られる」(運輸)など、押上げ効果は「限定的」との回答が67%と過半数を超えた。「押上げ効果はあまりない」は20%だった。

ただ、景気効果に限らず「数年に一度の世界的スポーツの祭典であり、今回しか参加のチャンスが無い選手もいると思われ、縮小されたものとなっても開催国としての義務を果たすべき」(機械)、あるいは「知恵を絞り開催することで、世界に希望を与えることができる」(食品)など、五輪自体の開催意義を重視する意見もある。

開催する場合でも、観客制限は必要との考え方が大勢を占めている。

開催する場合の観客制限などはどのような形が望ましいか聞いたところ、感染対策をとらない「当初計画通り」との回答は1割にとどまり、「何らかの観客制限をとって開催」としたのは76%を占めた。「無観客での開催」は12%と少なかった。また競技数を削減するという選択肢は3%だった。

他方で「中止すべき」との回答も32%を占めている。その多くが「感染防止と経済活動の両立は可能であるとしても、海外からの観客の受け入れを行うと感染拡大につながる恐れが高い」(鉄鋼)など、海外からの入国者による感染拡大懸念を示している。「費用をコロナ対策に回すべき」(食品)といった声もある。

(中川泉 編集:内田慎一)