[東京 6日 ロイター] - 日銀の桜井真審議委員は6日公表の英語の論文で、新型コロナウイルスの世界的流行によるショックにもかかわらず、主要国による効果的で迅速な政策協調が為替の安定維持で役割を果たしたとの見解を表明した。

2008年の世界的な金融危機で円が対ドルで急騰したのは、日銀の当時の金融政策の規模が米連邦準備理事会(FRB)による量的緩和策よりもはるかに小さかったからだと指摘。

日銀が2016年にイールドカーブ・コントロール(YCC)を導入するまでには、主要国の金融政策の方向性と規模がお互いに「かなり類似」するようになっていたため、ドル/円相場の変動も小さくなったと指摘した。

主要国は今年、コロナ流行による世界経済の悪化を受け、大規模な刺激策を打ち出した。「今回の対応で注目に値するのは、主要国の政府・中銀間の政策協調と主要中銀間の緊密な協力が迅速に確立され、効果的に機能しているということだ」とした。

「この結果、多少の一時的な変動はあったものの、主要国間の為替相場は安定を保ってきた」と続けた。

日銀は世界的な金融危機の経験を踏まえ、コロナ対策で「利用可能な手段を総動員」したと説明。「柔軟で大胆な政策を時宜を得た適切な方法で実施するために、今後も政府や他の中銀と緊密に協力する必要がある」とした。