[東京 4日 ロイター] - SUBARU(スバル)<7270.T>は4日、2021年3月期通期の連結業績予想(国際会計基準)を上方修正したと発表した。純利益は前期比47.6%減の800億円となる見通しで、従来予想の600億円から200億円上振れる。スバル最大の市場である米国を中心に自動車販売が想定を上回っており、販売計画も前回予想から引き上げた。

修正後の純利益予想は、リフィニティブが集計したアナリスト16人による予測平均値810億円をやや下回る。

売上高に相当する売上収益予想は同11.8%減の2兆9500億円で、従来予想の2兆9000億円から上方修正。営業利益予想も47.7%減の1100億円へと従来予想の800億円から引き上げた。販売計画は約12%減の91万0600台に従来予想の90万台から増やした。通期業績予想の前提為替レートは1ドル=106円と、前回予想(105円)から1円円安に見直した。

<下期は「楽観視できない」>

中村知美社長は電話での決算会見で、米国自動車販売は「9月、10月は前年を上回った」と振り返り、「想定よりも早い回復基調だ」と述べた。新型コロナウイルス感染拡大による一時生産停止の影響で不足気味だった米国の在庫水準も「徐々に回復してきており、年末までには適正な水準に戻る」と話した。

ただ、下期については「楽観視していない」という。米国でコロナ感染者数が増え続けており、販売が一本調子で回復するかどうか「不透明だ」とした。コロナ禍でマイカーが見直されるなどプラス要因もあるものの、州によっては経済活動の制約も大きく、日本から米国販売を見ている感覚と比べ、米国の駐在員や販売店などから聞く「現地の肌感覚のほうが、はっきりいって慎重だ」として警戒感を示した。

米大統領選の影響については「予断をもって申し上げることは控えたい」とし、「動向をしっかり注視していきたい」と語った。

同時に発表した20年4─9月期連結決算(国際会計基準)では、純利益が前年同期比65.3%減の237億円だった。売上収益は同24.1%減の1兆2183億円、営業利益は67.7%減の306億円だった。

コロナ影響で業績が悪化している米ボーイング<BA.N>の航空機向け部品を製造するスバルの航空宇宙部門は、4─9月期は30億円の営業赤字(前年同期は51億円の黒字)だった。下期も赤字拡大が見込まれ、中村社長は「構造改革を進める。下期からスタートしているが、余剰人員は自動車部門への配置転換、応援などで対応したい」と語った。

*内容を追加しました。

(白木真紀 編集:青山敦子)