中部夏期特集:生鮮精肉動向=JA全農みえ松阪食肉センター
2014/07/22, 日本食糧新聞
●羽ばたく「伊勢赤どり」 加工品需要開拓で新たな伊勢名物へ
JA全農みえ松阪食肉センターは、三重県内の畜産家が生産する肉用畜種を有利販売するのが主な業務だ。同センターは和牛のトップブランド「松阪牛」をはじめJAブランドの「みえ豚」「伊勢赤どり」を販売し、取扱規模は牛4842頭、豚(みえ豚)4万8000頭、鶏(伊勢赤どり)25万羽。
近年は生産者1軒当たりの規模は拡大しているが、環境問題や後継者不足で生産者軒数の減少が続き、肉畜の生産頭羽数も減少している。「増えているのは『松阪牛』のみ。後継者も育っている」(松阪食肉センター・上野真吾所長)と、圧倒的な全国区のブランド力を誇る「松阪牛」以外の生産環境は厳しい。
飼料価格の高騰、12年に宮崎県で発生した口蹄疫の影響、豚のPEDの流行などもあって、畜肉は高値相場が続いている。しかし、販売は「相場は高値だが、需要がついてこない」(上野所長)と川上高・川下安の状況が続いている。
しかし、テーブルミートの代表ともいえる豚肉のブランド「みえ豚」の販売は順調だ。「みえ豚」は三元交配の三元豚で飼料にビタミンE、αリノレン酸(あまに)、木酢酸を添加し、匂いが少なく柔らかい豚肉として県民に愛されている。また、「四日市とんてき協会」とのタイアップで県外へのアピールも進めている。
「伊勢赤どり」は昨年、伊勢遷宮で盛り上がったおかげ横丁で販売されるなど伊勢のブランド鶏肉として注目された。「伊勢赤どり」は日本の赤どりの先駆けともいえるブランド鶏肉で27年の歴史を誇り、通常約50日飼育に対して約70~75日と長期間飼育されているため、味と食感によりコクと歯応えがあるのが特徴だ。価格は一般的な鶏肉の1.5~2倍程度。「他の畜肉の供給不安、高齢社会の進展で高タンパク低カロリーの鶏肉の見直しが進んでいる。量販店だけでなく飲食店にも広めたい」と同センター・伊藤安國氏は意気込みを燃やす。
「生産者が1軒廃業するが、1軒新たに加わった。新たな生産者は増産意欲が高い」(伊藤氏)と飼育羽数の増加見込みもあるからだ。
遷宮後は、伊勢神宮の参拝客数は落ち着いているが、おかげ横丁における「伊勢赤どり」の需要は落ちていない。生肉だけでなく、加工品など土産需要への対応、飲食店への展開などで伊勢のもう一つの名物として羽ばたくことが期待される。
(金原基道)
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