[ブラジリア 28日 ロイター] - ブラジル中央銀行は28日、政策金利を過去最低の2.00%に据え置いた。据え置きは市場の予想通り。借り入れコストを長期にわたり低水準に維持する「フォワードガイダンス」を維持する一方、最近のインフレ率上昇を注視しているとも表明した。

金利据え置きの決定は全会一致だった。ロイター調査ではエコノミスト31人全員が据え置きを予想していた。

金融政策委員会(COPOM)は声明で、食品・石油価格や根強いレアル安によって短期的に物価上昇圧力が強まっていると指摘。ただ、こうした状況は「一時的」との見方を示した。

追加利下げの可能性は排除しなかったものの、緩和余地は小さいとした。また、フォワードガイダンスが正当化される状況は続いており、2022年までの期間においてインフレ期待は目標を「著しく」下回っていると指摘した。

COPOMは異なる金利と為替レートに基づく2つのシナリオを用いた予測で、インフレ率が今年3.1%に達し、22年には3.8%に上昇するとの見通しを示した。

9月時点での予測では、今年のインフレ率は約2.1%、22年は3.3%になるとの見通しを示していた。

エコノミストの間では、財政健全化を巡る不透明感の増大が長期のインフレ予想に悪影響を及ぼすとの見方が多く、よりタカ派的な声明が予想されていた。

クレディ・スイス(ブラジル)のチーフエコノミストは「予想よりもハト派的だった。中銀はインフレ・ショックのリスクを低く見せようとしている。財政リスクも(予想ほど)強調しなかった。追加利下げの選択肢を残したと言える」と指摘。

その上で「市場は(追加利下げを)予想していない」とし、イールドカーブがスティープ化する公算が大きいとの見方を示した。

COPOMは、ブラジル経済の回復が「まだら模様」で、経済成長を巡る不透明感が依然として高いと分析。特に緊急支援策は年末に失効する予定だと指摘した。

COPOMは「財政の体制は変更されておらず、長期のインフレ予想は引き続きしっかりアンカーされている」と表明した。

中銀のインフレ目標は、2020年が4.0%、21年が2.75%、22年が3.5%。

*内容を追加しました。