[ブリュッセル 28日 ロイター] - 欧州連合(EU)の行政機関である欧州委員会は28日、域内が新型コロナウイルスの感染急増で「憂慮すべき」事態に直面しているし、加盟国が感染防止に向け一段と協調して取り組むよう要請した。

ロイターの試算によると、欧州の新型コロナ感染は少なくとも854万人、死者は25万1000人に達しており、欧州が再び世界的大流行(パンデミック)の中心地になっている。

フォンデアライエン欧州委員長は記者会見で「状況は非常に深刻だが、全員が責任を持って取り組めば、ウイルス拡散を遅らせることが可能だ」と述べた。

欧州委は、医療機器が新たに不足するリスクを回避するため、注射器や消毒薬など、予防接種を行うために必要な機器の共同調達を開始したと表明。医療機器の輸入に対する関税と売上税の一時的な停止を4月まで延長し、新型コロナの検査キットやワクチンを売上税から免除することも可能とした。

また、域内市場へのさらなる混乱を回避するため、鉄道、水運、空運で輸送された製品について、国境での迅速検査を提案した。

欧州委は「検査能力不足」に至急対応する必要がある中、検査体制の強化や迅速な抗原検査の利用拡大に向け、各国政府が協調するよう要請。旅行者が出発国で検査を受けられない場合、到着時の検査も含め、入国者に対する検査要件を各国が一律化すべきとした。検疫に関する規則の調整も求めた。

フォンデアライエン委員長は、EU諸国へのワクチン供給が来年4月にも本格的に始まる可能性があり、最も脆弱な人々に優先接種する方針を表明。うまくいけば、月に最大5000万本のワクチンがEUに届くとした。