2020/10/28

【現場】九州の地銀がすごいことになっている

NewsPicks 金融ジャーナリスト
10月1日、長崎県の十八銀行と親和銀行が合併し、「十八親和銀行」が新たに発足した。地方銀行同士の「合併」は、平成・令和を通じて、ほとんど例がない。
合併によって、十八親和銀行の預金量は約5兆円に跳ね上がる。九州地方では第3位の規模だ。長崎県内の貸出金シェアは70%に達する。
それゆえ、この2行の合併には、公正取引委員会が待ったをかけた経緯がある。
独占禁止法の審査には長い時間がかかり、地銀再編を促進したい金融庁と公取委が対立する一幕もあった。
公取の判断を受けた経営統合の無期延期について記者会見する(左から)親和銀行の吉沢俊介頭取、ふくおかフィナンシャルグループの柴戸隆成社長、十八銀行の森拓二郎頭取(写真:時事フォト)
条件付きで認められることにはなったが、経営統合の合意から合併までには4年半の月日を要することとなる。
公取委が地銀再編のブレーキになる事態を憂慮した菅義偉首相(当時は官房長官)は、地域金融のあり方や競争政策を改めて議論すべきだと表明。
その結果、今年5月には地銀同士の統合・合併を10年限定で独占禁止法の適用除外とする「合併特例法」が成立した。
新法は11月27日から施行され、同一県内の地銀統合計画の承認が得られやすくなる見込みだ。
地銀再編の背中を押すきっかけをつくった十八、親和の合併は、そんな事情もあって地銀再編の「長崎モデル」とも言われている。

長崎を巻き込んだ「福岡抗争」