[東京 22日 ロイター] - 三菱重工業<7011.T>が国産ジェット旅客機「スペースジェット」(旧MRJ)の開発を凍結する方向で調整していることが22日、分かった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で顧客の航空会社の経営が悪化しており、航空機に対する需要は当面回復しないと判断した。事情に詳しい複数の関係筋が明らかにした。

三菱重工は今年5月以降、人員削減や拠点閉鎖などで開発体制を縮小してきたが、複数の関係者によると、さらに開発費や人員を大幅に削減する方針。30日に発表する中期経営計画に開発の凍結を盛り込む。

コロナの感染拡大で世界中の航空会社が業績悪化に陥っており、受注も見込みにくい状況にある。今後は需要動向を注視しながら、事業再開のタイミングを見極める。

これまでの開発費用は総額1兆円規模に上る。同社は8月、2021年3月期の開発費を前期の半分以下となる年約600億円に抑える計画を示していた。

スペースジェットは三菱重工の子会社である三菱航空機(愛知県豊山町)が国産初のジェット旅客機として開発を進めてきた。設計変更などトラブルが続き、これまで納期を6度延期している。初号機の納入先はANAホールディングス<9202.T>傘下の全日本空輸。当初は2013年に納入予定だったが、直近では21年度以降としていた。

三菱航空機はロイターの取材にコメントを控えた。

*内容を追加しました。

(ティム・ケリー、白木真紀 編集:久保信博)