[20日 ロイター] - 米半導体大手クアルコム<QCOM.O>は20日、次世代通信規格「5G」の基地局など通信設備向けの半導体市場に参入する方針を明らかにした。同市場は欧州や中国勢のシェアが大きく、米大手の参入は初めてとなる。

クアルコムは、携帯電話と5G通信網をつなぐモデムチップを含め携帯電話向け半導体ではすでに最大手だ。

一方、5G基地局や、通信会社が購入するその他インフラの市場は、ノキア<NOKIA.HE>やエリクソン<ERICb.ST>のシェアが大きい他、米政府が制裁を導入する前は中国の華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]も有力だった。

クアルコムはこれらの企業に直接対抗する代わりに、5G基地局技術の変化に伴い、半導体サプライヤーになることを目指している。

現在の5G基地局の状況は、1社が機器全体を設計し、特別仕様の半導体を発注して特別なソフトウエアを開発していた初期の携帯電話の状況と類似している。

だがスマートフォンセクターはその後、クアルコムが業界標準の携帯電話向けチップ供給に乗り出し、グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」とクアルコムの半導体をベースに多くの電話機メーカーが市場に参入できるようになったのを受け、大きな発展を遂げた。

クアルコムのクリスチャーノ・アモン社長は、5G基地局でも同様の流れが現在起きているとし、マイクロソフト<MSFT.O>などが「仮想化」された5G基地局を運用するソフトの開発に取り組んでいると指摘した。クアルコムは既存メーカーだけでなく、新規参入企業に基地局向け半導体を供給したい考えだ。