[ブリュッセル 15日 ロイター] - 欧州連合(EU)首脳会議は15日、温室効果ガスの削減目標について、12月の会議で再協議することで合意した。年内の最終決定を目指す。

EUは現在、温室効果ガスの排出量を2030年までに40%削減する目標を掲げているが、欧州委員会は「少なくとも55%の削減」を実現しなければ、2050年までに域内で排出される温室効果ガスを実質ゼロにする目標を達成できないと主張している。

2050年までに排出を実質ゼロとする目標については、石炭への依存度が高いポーランドを除くすべての加盟国が同意している。

15日のEU首脳会議では、2030年の数値目標の決定を見送り、12月の会議で再協議することを決めた。

2030年の削減目標で合意が成立すれば、60%の削減を主張している欧州議会との調整を進めることなる。[nL4N2GY1QI]

今回の首脳会議では、各国が削減目標の影響をさらに分析できるよう、協議を12月まで延期することを決めた。削減目標の影響を分析するまで新たな目標を支持できないとするポーランドに配慮した形だ。

また、2030年の削減目標をEU「全体」で達成する目標とすることも確認した。チェコ共和国は15日、2030年までにEU全体で55%削減する案なら支持する可能性があるが、国内ではこの目標を達成できないと主張。EU「全体」の目標とすることでチェコの支持を得られる可能性がある。

ドイツ、フランス、スペイン、ラトビア、デンマークなど、EU加盟国の約半数は「少なくとも55%の削減」を支持している。この目標が採用された場合、自動車の排ガス規制強化や、鉱工業や航空業の環境コスト引き上げなど、幅広い政策変更につながるとみられる。