[14日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のクラリダ副議長は14日、米経済指標は5月以降「驚くほど力強かった」としながらも、見通しは新型コロナウイルスの感染拡大状況次第となっており、経済が感染拡大以前の水準に戻るにはあと1年かかるとの見方を示した。

クラリダ副議長は国際金融協会(IIF)のオンラインイベントで「春の時点では、消費者が自動車や住宅の購入を手控えている時に、利下げ、フォワードガイダンス、資産買い入れ、融資プログラムがどのような恩恵をもたらすのかという疑問が出ていた」と指摘。「この疑問に対する答えは、少なくともこれまでのところは、低金利、クレジット提供、所得支援を受け、住宅や自動車が購入され、機器やソフトウエアが発注されたことがデータで示されている」と述べた。

その上で、新型ウイルス感染拡大抑制策で旅行業や外食業を含むサービス業は引き続き痛手を受けているとしながらも、「国内総生産(GDP)統計では、モノの消費、住宅、投資を含む幅広い分野で回復が見られた」と指摘。特に住宅と自動車部門は力強かったと語った。

ただそれでも、米経済はまだ苦境を脱していないとし、脱するにはGDP統計の観点では「あと1年」、失業率の観点ではあと3年かかると指摘。「追加的な金融政策支援のほか、財政政策による支援も必要になる公算が大きい」とし、「FRBは経済の支援に向けあらゆる政策措置を利用していくことにコミットしている」と述べた。

このほか、ワクチン開発などを受け、新型ウイルス感染拡大によるリスクを抑制できるようになれば、現在は痛手を受けているサービス産業は「追い風」を受ける可能性があるとも指摘。感染拡大抑制策でサービスに対する需要は積み上がっているとし、「私自身は伝染病学者ではないが、ワクチンが開発されたり、自宅での検査が可能になったりすれば、状況が劇的に変化する可能性がある」と語った。