[ワシントン 12日 ロイター] - 米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は12日、CNBCに対し、新型コロナウイルス対策としてマスクの一斉着用や大規模集会の回避を米国民に促す必要があり、さもなければ同国は「大きな問題」に直面すると警告した。

「1日当たりの感染者数は基調として4万─5万人に上っており、気温が低下する秋や一段と寒い冬が到来するのを考えると悪い状況だ」と指摘。

ファウチ氏はホワイトハウスの新型コロナ対策作業部会の主要メンバー。同氏がインタビューでコロナ対策を語るのとほぼ時を同じくして、トランプ大統領はフロリダ州で自身のコロナ感染後初となる選挙集会を開いた。

ファウチ氏は「この悪い状況を転換させる必要がある」とした上で、「マスクの一斉着用、物理的距離の確保、人の集まりまたは密集の回避、何かを行う際に屋内よりも屋外を選ぶ、頻繁な手洗いという5つの基本事項を行えば感染者が急増する今のような状況を一変でき、新たな感染の急拡大も防げる」とした。

そのような基本事項を実施しない場合に想定される結果について問われると「大きな問題に直面する」と応じた。

ファウチ氏は先に、CNNとのインタビューで、トランプ大統領の選挙陣営は、同氏の発言を引用している選挙広告を取り下げるべきだとの考えを示した。

広告は取り下げられるべきかとの質問に対して「そう思う」と答え、広告は「残念で非常に失望的だ」と述べた。

トランプ陣営が先週公開した30秒の選挙広告動画は、新型コロナウイルスに感染したトランプ氏の回復や、政府のコロナ対策に焦点を当てている。動画では、トランプ氏を称賛しているという印象を与えるような形で、ファウチ氏の発言が使われている。

ただ、ファウチ氏の発言は、ホワイトハウスの新型コロナ対策作業部会も含め、全般的なコロナ対策について話した今年3月のインタビューから引用された内容。ファウチ氏は「公職に就いてからの約50年間、公に選挙の候補者を支持したことはない」とし、数カ月前の自身のコメントが文脈を無視して使われたと強調した。

一方、トランプ陣営の広報担当者は、ファウチ氏の発言は正確で、ファウチ氏自身が語ったものだと指摘し、広告の正当性を主張している。

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