[パリ 12日 ロイター] - 経済協力開発機構(OECD)は12日、OECDが策定を進めている新たな国際課税ルールで各国の合意が得られなければ、報復課税の応酬につながり、世界の総生産の1%超が失われる可能性があると指摘した。

新ルールを巡っては、新型コロナウイルス感染拡大と大統領選を控えて米が後ろ向きな姿勢を示していることを受け、9日に約140カ国が協議を2021年半ばまで延長することで一致。当初は年内合意を目指していたが、その可能性は消滅した。

新ルール策定は、国際的な課税制度をデジタル時代に適合させ、特にグーグル<GOOGL.O>やフェイスブック<FB.O>、アマゾン<AMZN.O>などインターネット大手による課税免れを防ぐことが目的。現在は国際的な課税基準がないため、個々の国がそれぞれデジタルサービスに課税する動きが出てきており、米政権による報復関税導入につながる可能性もある。

OECDはその影響について「最悪のシナリオでは、課税合戦で世界のGDPが1%超縮小することもあり得る」と指摘。

新ルールが策定されれば、世界的な法人所得税収入は年間で500億─800億ドル増加する見通し。米国が海外所得に課す代替ミニマム税を含めると1000億ドルに達し、世界の法人所得税の4%に相当する。また新ルールが世界経済に及ぼすマイナスの影響は、長期的にみて0.1%以下だとしている。

OECDのサンタマン租税センター局長によると、各国は新ルールの青写真では合意しているが、適用する業界の範囲を巡り意見の相違があるという。