[東京 8日 ロイター] - マツダ<7261.T>は8日、新型スポーツ多目的車(SUV)「MX—30」を日本でも発売した。MX—30は同社初の量産型電気自動車(EV)モデルとして9月から欧州で発売しているが、日本ではまずハイブリッド車(HV)モデルとして投入し、月1000台の販売を目指す。来年1月には日本でもEVモデルを展開する予定。

欧州では2021年に二酸化炭素(CO2)の排出規制が強化され、CO2排出量の基準を上回ると罰金が科せられる。このため、走行時にCO2排出がゼロのEVモデルを投入した。日本でも環境意識は高まっているが、欧州のような厳しい規制がまだないほか、集合住宅が多く住民同士の意見が一致せず、自宅での充電インフラ環境が整いにくい事情などもあり、HVとしてまず発売する。

同社は各国・地域での動力源の適性やエネルギー事情、電力の発電構成、車の使われ方などを考慮し、内燃機関や電動化技術を適材適所で展開するマルチソリューション戦略を推進している。

丸本明社長は同日の発表会で、「地球温暖化への対応として掲げるマルチソリューション戦略の第一歩がMX—30だ」と指摘、「マツダブランドの幅を広げるモデル」と強調した。

EVモデルの国内投入が遅れる理由については、欧州での規制対応車として貢献しており、欧州で必要な台数を最優先した、と説明した。同社によると、欧州では10月4日時点で約5200台の受注が入っている。欧州での販売目標は非公表。

丸本社長は欧州、日本に続く市場投入に関して、時期は明言しなかったものの「米国を含む必要なところには導入していく」と述べた。

米カリフォルニア州知事は9月下旬、35年までに同州内におけるガソリン車の新車販売を禁止すると発表。全ての新車を排ガスが出ないゼロ・エミッション車にするよう義務付ける知事令を発した。

EVモデルの国内展開はリース販売を予定しているが、他の販売方法も検討中という。マーケティング担当者によると、当初は法人中心を想定していたが、一般顧客からも期待が寄せられており、「一般にも販路を広げていけるか検討を続けている」という。

MX―30は5人乗りで、開放感のある室内空間や車の多彩な使い方を実現するため、センターピラーのない観音開きのドアが特徴。HVモデルの価格は242万円から。欧州で発売済みのEVモデルはバッテリー容量35.5kWhのリチウムイオン電池を搭載し、航続距離は約200キロ。生産は本社宇品第一工場(広島市南区)。

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(白木真紀)