小野寺正(1)運命の夜
日本経済新聞
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奔放な人。
> 「前半生と後半生を分かったのは、1983年の夏の盛りにデスクにかかってきた1本の電話だ。公社の技術系の4年先輩に千本倖生(せんもとさちお)さんという奔放な人がいて、私も仕事で何度もぶつかったことがある。私の専門の無線と、千本さん属する伝送部門は何かと利害が対立する関係にあったからだ。
そんな千本さんが「電話では話せない重大な相談がある」という。確かホテルオークラだったと思うが、ロビーに呼び出され、何事かと向き合うと、出てきた言葉は私の想像の域をはるかに超えていた。「電電公社に対抗する新しい電話会社をいっしょにつくらないか」という誘いだった。最初は訳が分からなかったが、話を聞くうちに脈絡がのみ込めてきた。」
そして京都。
> 「気持ちが固まったのはその年の秋の深まる頃だ。誰に会わせるとも言われないまま、千本さんの指示で京都を訪ねた。哲学の道沿いの広壮な日本家屋に降り立ち、玄関をくぐると、威風堂々とした50前後の紳士が「ようこそいらっしゃいました」と名刺を差し出した。そこには「京セラ社長 稲盛和夫」とあった。」