[ニューヨーク 29日 ロイター] - 北朝鮮のキム・ソン国連大使は29日、国連総会で演説し、同国は自衛のための「戦争抑止」態勢を確立しており、経済発展に注力すると強調した。

キム大使は「純粋な平和は、戦争を阻止する全体的な強さを得て、初めて担保される。われわれは体制を引き締めることで、自衛のための信頼に足り、効果的な戦争抑止力を手にしたので、朝鮮半島や地域の平和と安全はしっかり守られている」と語った。

その上で「国家と人民の安全が確保されていることに基づき、わが国政府は全力を経済建設に注いでいる」と説明。経済建設のために良好な外交環境を求めているのは事実であるものの「われわれは自分たちの尊厳まで売り渡すつもりはない」と付け加えた。

新型コロナウイルスを巡っては、感染拡大を防ぐ対策を取った結果、「防疫の状況は安全で安定した管理の下にある」と述べた。北朝鮮は感染者が皆無としているが、米政府当局者の一部は懐疑的な見解を示している。

キム大使はまた、北朝鮮は引き続き、朝鮮半島上空を飛行するステルス戦闘機などの脅威にさらされており、「あらゆる種類の核攻撃手段が北朝鮮を直接の標的にしている」と主張した。

北朝鮮分析サイト「38ノース」のジェニー・タウン氏は、キム大使の演説について、「近い将来の武力誇示を明確に警告・示唆するものはなかった。国内状況の立て直しと回復に厳密に焦点が置かれた」と分析した。

*演説の内容を追加しました