(ブルームバーグ): トランプ米大統領は2016年の大統領選挙の際、長女のイバンカ氏を副大統領候補とすることを繰り返しアドバイザーらと協議したと、トランプ陣営の幹部だったリック・ゲイツ氏が明らかにした。同氏は同大統領選を巡るモラー特別検察官(当時)の捜査で被告および証人となった人物。

16年夏にトランプ氏の選挙運動の副責任者だった同氏は10月13日発売予定の新著で、共和党の候補指名を得るのに苦労したトランプ氏が1カ月ほどの間、信頼できる副大統領候補について熟考していたと説明した。

イバンカ氏と夫のクシュナー氏や他の子供たちも参加した副大統領についての協議でトランプ氏は、「『イバンカがいいと思う。イバンカを副大統領にしたらどうだろう』と発言し、その後は沈黙が起きた」とゲイツ氏が著書「Wicked Game: An Insider’s Story on How Trump Won, Mueller Failed and America Lost」 につづっている。

ブルームバーグ・ニュースが入手した同書のコピーによると、「全員がイバンカ氏の方を向いたが、イバンカ氏はただ驚いているようだった。われわれは皆、トランプ氏をよく知っていたので、口を閉ざし笑わないようにした。トランプ氏は『彼女は頭がいいし美しい。人々は彼女を好きになる』と続けた」という。

ゲイツ氏は当時、トランプ氏が「冗談を言っているわけではないと思った」と書いている。ホワイトハウスとイバンカ氏の報道官はコメントを控えた。

同書によれば、イバンカ氏自らがトランプ氏に対し、自身が副大統領候補になるのは「良い考えではない」と伝え、トランプ氏はこれを受け入れた。同氏は16年7月15日、マイク・ペンス氏を副大統領候補に選んだとツイートした。

原題:Trump Considered Daughter Ivanka as 2016 Running Mate, Book Says(抜粋)

©2020 Bloomberg L.P.