[ニューヨーク 28日 ロイター] - 米国株式市場でリターンを追求する投資家は今月、午前の取引時間帯に落胆する日々が続いている。

ビスポーク・インベストメント・グループのデータによると、今月はこれまでのところ、通常取引が一貫して売り優勢の展開となっている。平均すると、S&P総合500種指数 <.SPX>の下げが最もきつい時間帯は米東部時間午前10─11時(日本時間午後11時─翌午前0時)で、その後も毎時間、下げを記録してきた。

S&Pは週間で4週連続で値下がりと、続落期間は1年ぶりの長さとなった。

ビスポークのストラテジストは25日のリポートで「序盤30分のかなり控えめな上昇を除けば、残る取引時間中は投資家が提示価格での売却に応じ、株式を売り払っている」と指摘。

9月の米株式相場は一方、引け後の時間外取引が通常取引よりも好調に推移する長期トレンドに近づいた。年初から8月までは概ね、通常取引が相対的に好調だったのとは対照的だ。

ビスポークによると、S&P500に連動する上場投資信託(ETF)のSPDR・S&P500ETFトラスト<SPY.P>が1993年に立ち上がって以来、時間外取引の投資収益率は722%に達しているのに対し、通常取引はマイナス8.5%となっている。

サスケハナ・フィナンシャル・グループのデリバティブ戦略共同責任者クリストファー・マーフィー氏は地政学的およびマクロ経済的な情勢が時間外取引の不調を招いた事例が最近、何回かあったと指摘。一例が2019年春に米中貿易摩擦が沸点に達した際だったという。

今年2月は、新型コロナウイルス流行への懸念の目が主にアジアに向けられていたため、米国の通常取引終了後にアジア市場が開くことから、時間外取引のリターンが低下したという。

「市場を動かす要因の多くは時間外で起きるため、総じて夜間に市場が急上昇する」とし、「米国外でショックが起きる場合は、夜間の取引が不調というまれな展開になる」と分析した。

しかし、最近の相場動向を踏まえると、時間外取引が相対的に不調な展開はもはや長くは続かないかもしれない。

ビスポークのストラテジストは「今年の早い段階で深く沈んだ」時間外取引相場は「2020年通年では再び先行する状況にどんどん近づいている」とした。