[ブリュッセル 17日 ロイター] - 欧州連合(EU)のバルニエ首席交渉官は16日に開かれた27加盟国の大使級会合で、英国との通商交渉が危機的な状況にあるにもかかわらず、通商合意はなお可能との認識を示した。関係筋が明らかにした。

英国は今年1月にEUを離脱。離脱前の状態を維持する移行期間は今年末に終了する。

EUは10月末までの通商合意締結を求めているが、これまでのところ交渉の進展は乏しい。また、英政府が離脱協定の一部を骨抜きにする法案を通そうとしているため、先行きは一段と不透明になっている。

ただ、EU筋によると、バルニエ氏が大使級会合で示した見解はそれほど悲観的ではなかったという。

関係筋の1人は「バルニエ氏は合意はまだ可能だと考えている。今後数日の展開が鍵を握る」と述べた。

別の関係筋は「期待感はまだある」と述べた。

EUの執行機関である欧州委員会のフォンデアライエン委員長もまた、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)のインタビューで、英国との通商合意はなお可能との見方を示した。

一方、ジョンソン英首相は今月に入り、発効済みのEUとの離脱協定の一部に違反する内容を含む「国内市場法案」の成立を目指し取り組んでおり、通商交渉に影を落としている。

EUの外交官らは、10月15─16日のEU首脳会議で今後の方針を決めるのを前に、9月末に英国内の政治情勢を検証する考えだと明らかにした。

英政府の報道官は、同国の対EU交渉担当者であるフロスト氏が17日にバルニエ氏と開いた「有意義な」協議を受け、英側は1カ月内の合意とりまとめを目指し、残る相違点の解消に尽力すると述べた。

EU筋は、17日の協議は「広範な問題が取り上げられ、限定的ながらも多少の進展があったが、漁業や補助金などの主要分野で大きな隔たりが残った」と述べた。