[ロンドン 17日 ロイター] - イングランド銀行(英中銀)は17日、政策金利と資産買い入れ枠の据え置きを全会一致で決定した。ただ、新型コロナウイルス感染増のほか、失業率上昇や欧州連合(EU)離脱に伴う新たなショックの恐れがあることを背景に、どのようにマイナス金利を導入できるかについて政策当局者に説明が行われた。

政策金利は0.1%、資産買い入れプログラムは7450億ポンド(9660億ドル)に据え置いた。据え置きは予想通り。

英中銀は、英経済が先月時点の想定よりも迅速に回復していると指摘。第3・四半期の英経済は2019年末の規模を7%下回る可能性が高いとした。8月時には9%下回ると見込んでいた。

声明で「8月の時点での予測と比べ、最近の経済指標は若干力強くなっている。ただリスクを踏まえると、最近の指標が経済の今後の展開をどの程度的確に状況を反映しているかは分からない」としとし、「金融政策委員会は引き続き状況を注意深く監視し、付託された権限に応じて金融政策を調整する用意がある」と指摘。「目標達成に向け、講じ得るあらゆる措置を引き続き検討していく」とした。

また「均衡金利が低い期間のある時点において、インフレ率と国内総生産の見通しがマイナス金利導入を正当化するとしたら、どのように効果的に実施されるのか」について、金融政策委員会が説明を受けたことを明らかにした。

ベイリー総裁のほか一部の政策担当者はこれまでに、すでにマイナス金利政策を導入した欧州中央銀行(ECB)や日銀などに続いてマイナス金利政策を導入することの恩恵と副作用を検証していると述べていた。

この日は一歩踏み込み「2020年第4・四半期に運用の検討を巡る構造的な取り組みを開始する」と表明。銀行の融資能力を損なわず、景気回復を維持しながらマイナス金利政策を導入する方法を検証することを示唆した。

これを受けポンドが急落し、対ドル<GBP=D3>で一時0.6%安の1.2883ドルとなった。

プレミア・ミトンの英国株式投資マネジャー、ジョン・ハドソン氏は「英経済の回復は現時点で中銀の前回予想を上回っているが、新たな社会的制約の導入、一時帰休制度、英EU離脱など嵐のような暗雲が立ち込めている」と指摘。「インフレ率が目標を大きく下回っているため、金融政策委員会が今後数カ月以内の追加刺激策を示唆したのは驚きではない」と述べた。

モルガン・スタンレーのエコノミストは、英中銀の次の動きは債券買い入れの規模拡大になると予想。マイナス金利政策については、英国が欧州連合(EU)と自由貿易協定(FTA)で合意できなければ、導入される可能性があるとの見方を示した。

*内容を追加しました。