[サンパウロ 9日 ロイター] - ブラジル・サンパウロ州のドリア知事は9日、中国の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)<SVA.O>が開発した新型コロナウイルス用ワクチンの第3相臨床試験で有望な結果が示されたと明らかにした。早ければ12月にもブラジル国民が接種できるようになるかもしれないと述べた。

ドリア氏によると、同ワクチンの第2相臨床試験では高齢者の98%で免疫反応が示された。

ブラジルで同ワクチンの臨床試験に参加しているのは約9000人。臨床試験はサンパウロ市のほか、首都ブラジリアなど11カ所で行われている。

新型コロナの感染者数が米国、インドに次いで世界で3番目に多いブラジルは、開発中ワクチンの試験場となっている。

英アストラゼネカ<AZN.L>が開発したワクチンの世界各国での臨床試験は、英国で被験者に想定外の症状が出たことを受け、中断に追い込まれた。このためブラジルにおける臨床試験には5000人が参加して問題なく進んでいたにもかかわらず、サンパウロなどでのワクチン接種は保留となった。

来年初めには、ロシアが開発した新型コロナ用ワクチン「スプートニクⅤ」もブラジルで1万人を対象とする第3相臨床試験が実施される予定だ。