2020/9/12

【実録】天才すぎる兄弟の「決済革命」

NewsPicks編集部 記者
もはや後戻りはありえないーー。
コロナは、あらゆるビジネスをオンラインへと誘った。特にEコマースは、米国ではこの数カ月だけで10年分のEC化が進んだという試算も出ているほどだ。
もちろん、これはコロナによる環境変化が一番の要因だが、これを可能にしたのは、手軽にオンラインビジネスのインフラを作り上げた「黒子企業」の存在がある。
特集の第1回として紹介したいのが、Stripe(ストライプ)だ。
評価額は360億ドル(約4兆円)。今年8月、イーロン・マスクのSpaceXが資金調達するまでは、アメリカで最も価値の高いユニコーン企業だった(ちなみにマスクはストライプにも出資)。
2010年に、当時20、22歳だったコリソン兄弟が創業すると、PayPal(ペイパル)やSquare(スクエア)など競合がひしめく「決済」という分野を勝ち抜き、今やアマゾンやショピファイ、Slack、Zoomなどトップ企業たちを顧客に抱える。
今年は日本にも開発拠点まで設置し、本格攻勢を仕掛けるStripe。日本事業のトップであり、コリソン兄弟との幼なじみでもあるダニエル・ヘフェルナン氏を直撃し、「決済革命」の野望を聞いた。

高校もMITも中退、2度の起業

──ストライプを立ち上げたコリソン兄弟とは、幼なじみと聞きました。
ご存じのとおり、ストライプは、アイルランド人であるパトリックとジョンのコリソン兄弟が創業しました(下記メモ①)
パトリックは僕より1個下の後輩です。僕が中学2年生の時に、同じ中学にパトリックが入ってきてから、一緒にプログラミングをやったり、友達のシステムを作ったりしていて、それ以来ずっと友達です。
彼は、高校を卒業せずに、「何かを作りたい」「何か大きいことをやりたい」と考えていたのですが、アイルランドでは最低2〜3年高校(通常は6年)にいないと、卒業試験を受けることができないので、イギリスで1年自習して飛び級受験しました。
その後、米国に渡りMIT(マサチューセッツ工科大学)に入ったのですが、そのMITさえも辞めて1個目の会社を立ち上げ、買収された後、2010年にStripeを立ち上げたのです。