(ブルームバーグ): シンガポールの資産運用会社メトリカ・パートナーズは、ソフトバンクと韓国ネイバーがLINE(ライン)に対して共同で実施中の株式公開買い付け(TOB)の価格が著しく不公平だとして、ほかの少数株主らとともに見直しを求める書簡を送る方針だ。現行の買い付け価格は1株当たり5380円だが、「最低でも7000円が適正」と主張している。

メトリカの最高投資責任者(CIO)、ダミアン・エドワーズ氏はブルームバーグの取材に対し、TOB価格のプレミアム(上乗せ幅)が「ここ数年の国内取引例に比べて著しく低い」と指摘し、応募は見送ると述べた。ソフトバンクとネイバーに対し、メトリカの意見に賛同する株主らと共同で、応募期限前に買い付け価格の引き上げを求める書簡を送付すべく準備しているとした。

同社は運営するファンドなどでライン株を保有しているという。出資比率は公開していない。8月4日に開始したTOBは今月15日が応募期限。ソフトバンク広報担当者はコメントを控えた。ネイバーの上場子会社であるラインの広報担当者は、実行中の取り引きについてコメントできない、と述べた。

今回のTOBは、ソフトバンク傘下でヤフー親会社のZホールディングス(HD)とラインの経営統合手続きの一環。ソフトバンクとネイバーが50%ずつ持つ新会社を設立、株式交換も使って新会社が資本参加するZHDの傘下に事業会社のヤフーとラインがぶら下がる形になる。

エドワーズ氏は、ネイバーが今回の一連の取引で必要な投資額と、見返りに得るZHD株式などの対価との差を計算すると、受け取るのはライン1株換算で8653円に相当すると指摘。TOBで少数株主が得る5380円では不当に少ないと主張した。

ラインの株価は昨年11月の経営統合報道直後に急騰。昨年12月には株価動向や応募見通しを考慮して買い付け予定価格を1株5200円から5380円に引き上げたが、株価はTOB価格を上回って推移しており、3日の終値は5400円。

一方、現在はライン親会社のネイバーが70%以上の株式を保有しているため、少数株主の応募がゼロであっても、必要手続きを踏まえた上で株式併合により最終的にはライン株全てを取得できることになる。エドワーズ氏はその場合、法的措置を検討すると述べた。

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