[東京 2日 ロイター] - 自民党の岸田文雄政調会長は2日、ロイターとのインタビューで「新型コロナ対応は長期戦を覚悟しなければならない」と述べ、検査体制の拡充を柱とする感染症対策や経済対策の両立が必要との考えを示した。自民党総裁選を巡って自身の劣勢が伝えられる中、「今回の勝負でどれだけ理解や支持を得られるかが大事」と語った。

安倍政権を巡って岸田氏は「経済でも外交でも大きな成果のあった7年8カ月だった」と評価した。一方で、コロナ禍の直撃に伴う国際社会の変化に対応する必要があると強調し、「経済、外交の2つの分野でどこを加えなければいけないか、変えなければいけないか。国民の理解と協力なくして結果を導くことはできない。国民の協力を引き出すリーダーを目指したい」と抱負を語った。

コロナ対応では「失業率が1%上昇すると自殺者が千数百人増えるとの民間機関の指摘もあり、ともに命のかかった問題だ」とし、感染拡大防止と社会経済活動の両立を訴えた。「必要な財政措置は思い切って行っておかないといけない」とも語った。

日銀に対しては「しばらく今の方針を基本的には維持しながら、状況に適切に対応してもらう気構えは持ってもらいたい」と述べた。「しばらくは経済状況は厳しいだろうから、各国とも金利を上げるのは難しい」との見通しを示した上で、「数年先には出口戦略、平時に戻していく姿を金融政策でも財政政策でも行っていく時点が来る。これに日本が遅れては国際的信用を落としてしまう」とも述べた。

財政健全化の方向性を示すなどして「国際的な信頼を維持する努力は財政面でも大事」との認識も併せて示した。

外交・安全保障分野では「引き続き日米同盟が基本となる」との見方をあらためて示す一方、中国について「東シナ海や南シナ海をはじめ一方的な現状変更を行うという試みに対しては、しっかりと物を言っていかないといけない」との考えも述べた。

出馬を正式表明した総裁選に関しては「勝負は1回1回が真剣勝負だと思っている」と強調。支持の広がりによって「それが未来につながるかも知れない」との認識を示した。

(吉田まゆ、イレイン・リーズ、山口貴也)