[ワシントン 1日 ロイター] - 米供給管理協会(ISM)が1日に発表した8月の製造業景気指数は56.0と、前月の54.2から上昇し、2018年11月以来の高水準になった。上昇は3カ月連続。新規受注指数が大きく伸びたことが寄与した。ただ雇用指数はなお低調で、労働市場の回復は失速しつつあるとの見方が裏付けられた。

ロイターがまとめたエコノミスト予想は54.5だった。指数は50が景気拡大・縮小の節目となる。製造業は米経済の11%を占める。

生産活動は設備投資が依然低調な中で、家電などへの需要にけん引されている。ISMは、製造業のセンチメントは「7月に比べて程度は劣るが、概ね楽観的」とした。

ただ、MUFGのチーフエコノミスト、クリス・ラプキー氏は「購買担当者を対象とした調査が明るい内容だったとしても米経済は正常には戻っていない」と指摘。「企業がより慎重な姿勢になるべきかは時が経てば明らかになる。政府の新型コロナ対策は停滞し始めている」と述べた。

状況は業種ごとで異なっている。輸送機器メーカーは「航空業界は引き続き大きな圧力にさらされている」と指摘。機械メーカーは「資本設備の新規受注が再び鈍化している」と述べた。対照的に、電機・家電・部品メーカーのほか、化学、木材、金属加工品メーカーからは「既存顧客や新規顧客からの旺盛な需要がある」との声が聞かれた。

8月は木材、一次金属、コンピュータ・電子製品など業種が拡大した一方、印刷関連、石油・石炭、家具関連などは縮小した。

ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズのシニアエコノミスト、サラ・ハウス氏は「パンデミック(世界的大流行)の打撃を受けたサービス業と関連する製造業は苦戦が続いている」と指摘。「パンデミックの影響が長引けば、商品消費との関係が深い製造業でさえ乗り切るのが難しくなる」と述べた。

新規受注指数は67.6と、前月の61.5から上昇。04年1月以来の高水準を付けた。15業種で受注増加が見られ、受注が減少したのは1業種のみだった。顧客在庫を示す指数は10年6月以来の低水準となり、受注のさらなる増加を示唆した。

受注残を示す指数も輸出向け受注が増加したことで上昇した。

雇用指数は46.4と、前月の44.3から改善したものの、依然として50を下回っている。雇用指数が50を下回るのは13カ月連続。

ISMは「企業や業者は安全性を確保するために労働力が制限された状態で操業した」と指摘。「労働市場の長期的な見通しは依然不透明」とした。

価格指数は59.5と、前月の53.2から上昇。18年11月以来の高水準となった。

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