[シドニー 1日 ロイター] - 米フェイスブック<FB.O>は1日、オーストラリアのメディア企業への記事使用料支払いを巡る豪政府の規制案が法制化された場合、豪国内のニュース発行者や個人がフェイスブックやインスタグラムで国内外のニュースを共有できないようにすると発表した。

また、規制上のリスクを回避するために必要と判断すれば、世界中のどこでもコンテンツをブロックしたり、ユーザーのアクセスを制限したりすることが可能になるよう利用規約を更新。広報担当者は「今回の世界的な規約更新により、オーストラリアを含めサービス変更に柔軟性が増し、規制や法的措置に対応した運営とユーザーサポートの継続が可能になる」と述べた。

豪政府は7月、フェイスブックやアルファベット<GOOGL.O>傘下のグーグルに対し、インターネット上で表示する記事について、ロイヤルティー方式で国内メディアへの料金支払いを義務付ける方針を明らかにし、年内に法制化する考えを示した。

フェイスブックの豪部門マネジング・ディレクター、ウィル・イーストン氏はブログへの投稿で「当社にとってこれは最初の選択肢ではなく、最後の選択肢だ。だが、豪ニュース・メディア業界の長期的な活力を損なう理不尽な結果から身を守るためには、これが唯一の選択肢だ」と述べた。

また、政府の案はインターネットのダイナミクスを誤解しており、報道機関に害をもたらすことになると指摘した。

フライデンバーグ豪財務相は法案について、国益にかなう内容であり、オリジナルのコンテンツに対価が支払われる、より持続可能なメディア産業の創出につながると反論。「いかなる強要や高圧的な脅しにも影響されない」と述べた。

無料放送局のロビー団体「フリーTVオーストラリア」のブリジット・フェア最高経営責任者(CEO)はフェイスブックの方針について、「いじめ」のようなものであり、同社は「ニュースコンテンツへの公正な対価支払いを回避するためなら何でもする」と批判した。

また、豪政府に法案を撤回させるため「豪ユーザーが人質にされている」と非難。その上で、法案はフェイスブック、グーグル、豪ニュースメディア企業の間の力関係を均等にするための唯一の合理的な方法だと指摘した。

フェイスブックのイーストン氏は、法案の及ぶ範囲は「前例がない」ほど広いとし、同社にできるのは、ニュースを完全に排除するか、もしくはメディア側の求めに応じて明確な上限のない料金を支払うかのいずれかだと指摘。「残念ながら、そのような運営が可能な企業はない」とした。

*内容を追加しました。