[21日 ロイター] - <為替> 経済指標で米経済がユーロ圏経済をアウトパフォームしていることが示されたことを受け、ドルが対ユーロで上昇した。

IHSマークイットが発表した8月のユーロ圏購買担当者景気指数(PMI)速報値は総合PMIが51.6と、景況拡大と悪化の分かれ目の50は上回ったものの、7月の54.9から低下。ロイターが集計した予想の54.9を下回った。新型コロナウイルス関連規制の緩和に伴い、規制期間中に蓄積された需要がはけ、特にサービスが失速した。

一方、IHSマークイットが同日発表した8月の米総合PMI速報値は54.7と、2019年2月以来の高水準を付けた。新型ウイルス感染件数が全国的に高止まりする中でも、製造業とサービス業ともに新規受注が増えた。

OANDA(ニューヨーク)のシニアマーケットアナリスト、エドワード・モヤ氏は「米経済が欧州経済をアウトパフォームしていることが裏付けられた」と指摘。ケンブリッジ・グローバル・ペイメンツのチーフマーケットストラテジスト、カール・シャモッタ氏は「欧州経済が足元で若干失速しているほか、他の地域でも経済が問題に直面していることが示された。こうしたことがパフォーマンスのギャップにつながっている」と述べた。

ユーロは対ドル<EUR=>で一時1.175ドルと、1週間ぶりの安値を更新。その後はやや値を戻し、0.61%安の1.179ドル。

週間では、ドルは対ユーロで6月中旬以降で初めて上昇。9週連続で下落していれば、2010年夏以降で最長になっていた。9週連続下落は1990年以降、5回しか起きていない。

今週のドルは、19日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨公表以降に回復した。

<債券> 薄商いの中、方向感のない取引となった。市場では来週の米国債入札のほか、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が27日に行う講演が注目されている。

キャンター・フィッツジェラルド(ニューヨーク)の金利ストラテジスト、ジャスティン・レデラー氏は、長期債に買いが入ったことで利回りは低下したとしながらも、「夏枯れ相場となり、特に午後は極めて静かだった」とし、薄商いの中で相場が振れやすくなっていると述べた。

終盤の取引で10年債<US10YT=RR>利回りは0.6412%と、低下幅は1ベーシスポイント(bp)以下にとどまった。30年債<US30YT=RR>利回りは2.1bp低下の1.3559%。

この日発表の経済指標では、IHSマークイットの8月の米総合購買担当者景気指数(PMI)速報値が54.7と、2019年2月以来の高水準を付けた。これを受け、朝方の取引で国債利回りは上昇した。

カンザスシティー地区連銀は、ワイオミング州の避暑地ジャクソンホールで世界の中央銀行首脳を集めて例年開催している経済シンポジウムを今年はテレビ会議方式で開催。パウエルFRB議長は27日に、金融政策の枠組み見直しについて講演する。

キャンター・フィッツジェラルドのレデラー氏は、パウエル議長が「予想されていることの範囲を越えた発言」を行えば、国債市場のボラティリティーは高まるとの見方を示した。

財務省は来週、25日に500億ドルの2年債、26日に510億ドルの5年債、27日に470億ドルの7年債の入札を実施する。

2年債と10年債の利回り格差<US2US10=TWEB>は49.30bpと、前日終盤から約1bp縮小した。

<株式> 続伸。ダウ平均株価<.DJI>は190ドル値上がりしたほか、S&P総合500種指数<.SPX>とナスダック総合指数<.IXIC>がともに終値で最高値を更新した。底堅い経済指標が買い手掛かりになった。

8月の米総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は54.7と、2019年2月以来の高水準。新型コロナウイルスの感染件数が全国的に高止まりする中でも、製造業とサービス業ともに新規受注が増えた。

また7月の米中古住宅販売戸数は、年率換算で前月比24.7%増加し586万戸。伸びは2カ月連続で過去最高を更新したほか、販売戸数は2006年12月以来、約13年半ぶりの高水準を記録した。コロナ禍で在宅勤務が定着する中、大型物件への需要が拡大した。

アライ・インベストのチーフ投資ストラテジスト、リンゼー・ベル氏は「経済が再開する中、製造業に持ち直しの動きが見られるのは不思議でない」とした上で、こうした動きが相場の値上がりを後押ししていると指摘した。

時価総額が2兆ドルを超えたアップル<AAPL.O>が5%強値上がりし、S&P500やナスダックを最も押し上げた。市場では、アップルに加え、ネット通販大手アマゾン・ドットコム<AMZN.O>やマイクロソフト<MSFT.O>といった企業が新型コロナ危機をうまく乗り切るとの期待が根強い。

週間ではダウ平均がほぼ変わらず。S&P500は0.7%高、ナスダックは2.7%高。

<金先物> 対ユーロでのドル上昇などを受けた売りが先行した後、買い戻され、いってこいの展開となった。中心限月12月物の清算値(終値に相当)は前日比0.50ドル(0.03%)高の1オンス=1947.00ドル。

外国為替市場では、8月の米製造業購買担当者景況指数(PMI)速報値の発表を受けて、ドル買い・ユーロ売りが加速した。ユーロ圏PMIは下振れしており、米PMIが予想を上回る改善となったことで、米景気回復の失速懸念がやや後退した。ドルが堅調を取り戻す中、ドル建てで取引される金塊に割高感が生じ、売りが活発化。相場は一時1916.60ドルまで下落した。

ただ売り一巡後は、旺盛な安値拾いの買いや週末を控えたポジション調整の取引に下げ幅を一掃した。今週の金相場は、19日に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を受けて利益確定の売りが膨らみ、清算値ベースで19、20の2日間に66ドル余り下げたが、週間の下げ幅は2.80ドル(0.14%)にとどまった。

業種別では情報技術株<.SPLRCT>が1.2%高。工業株<.SPLRCI>は0.35%高。

電気自動車(EV)のテスラ<TSLA.O>は2.4%高。前日には2000ドルの節目を初めて突破。株式分割を前に急騰を続けた。

農業機械メーカーのディア<DE.N>は4.4%高。通期の収益見通しを引き上げた。

<米原油先物> 対ユーロでのドル上昇などを背景に売られ、下落した。新たに中心限月となった米国産標準油種WTIの10月物の清算値(終値に相当)は前日比0.48ドル(1.1%)安の1バレル=42.34ドルだった。11月物は0.47ドル安の42.62ドルとなった。

ドル/円 NY終値 105.78/105.81 <JPY21H=>

始値 105.66 <JPY=>

高値 106.07

安値 105.65

ユーロ/ドル NY終値 1.1795/1.1799 <EUR21H=>

始値 1.1802 <EUR=>

高値 1.1803

安値 1.1755

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 100*20.50 1.3489% <US30YT=RR>

前営業日終値 99*30.50 1.3770%

10年債(指標銘柄) 17時05分 99*28.50 0.6363% <US10YT=RR>

前営業日終値 99*26.00 0.6440%

5年債(指標銘柄) 17時05分 99*29.25 0.2675% <US5YT=RR>

前営業日終値 99*29.25 0.2680%

2年債(指標銘柄) 17時05分 99*30.63 0.1473% <US2YT=RR>

前営業日終値 99*31.00 0.1410%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 27930.33 +190.60 +0.69 <.DJI>

前営業日終値 27739.73

ナスダック総合 11311.80 +46.85 +0.42 <.IXIC>

前営業日終値 11264.95

S&P総合500種 3397.16 +11.65 +0.34 <.SPX>

前営業日終値 3385.51

COMEX金 12月限 1947.0 +0.5 <GCv1><0#GC:>

前営業日終値 1946.5

COMEX銀 9月限 2673.2 ‐41.5 <SIv1><0#SI:>

前営業日終値 2714.7

北海ブレント 10月限 44.35 ‐0.55 <LCOc1><0#LCO:>

前営業日終値 44.90

米WTI先物 10月限 42.34 ‐0.48 <CLc1><0#CL:>

前営業日終値 42.82

CRB商品指数 149.9568 ‐0.8649 <.TRCCRB>

前営業日終値 150.8217