[ワシントン 16日 ロイター] - 米国の歴史上、大統領選候補者指名の党大会は約200年も前に開催が始まった。この党大会はここ何十年か、本選までわずか数カ月のところで各党候補者を全米テレビ中継で紹介する重要なイベントになっている。17日に始まり翌週に続く民主、共和の全国党大会について、情報をまとめた。

<指名選出>

全国党大会は、かつては候補者を文字通り選出する場だった。しばしば幾度も投票が繰り返され、長時間の対決があり、決定はしばしば党長老による密室会議の体を取っていた。しかし、ここ何十年もそうしたことは起きていない。

党大会を開く段で指名確定がほとんど見えていなかったのは1976年のミズーリ州カンザスシティーでの共和党大会以後はない。その大会では結局、共和党の現職大統領、ジェラルド・フォード氏が後に大統領になるロナルド・レーガン氏を退けた。

党大会での投票が1回で決まらなかったのは1952年のシカゴでの民主党大会が最後だ。そのときは、イリノイ州知事のアドレイ・スティーブンソン氏が選出に至った。

今は、指名候補者はそれまでの州ごとの予備選挙で確定して党大会を迎える。党大会で各州代議員の投票によって指名が正式決定する。党大会は党の候補者とメッセージを発表するための場となっている。

今年の党大会は民主党が17─20日、共和党が24─27日。新型コロナウイルス対策で、いずれもほとんどオンライン形式で行われる。本選は11月3日。

<きら星のような若手も登壇>

民主、共和とも4夜にわたって繰り広げられる演説はテレビのゴールデンタイムに中継され、聴衆からの候補者への支持を盛り上げ、本選に向けた最終盤戦への号砲の役割を果たすことが意図されている。

両党とも応援演説者を次々に繰り出し、最終日の最後の指名受諾演説で民主党はジョー・バイデン前副大統領が、共和党はトランプ現大統領が登場する。

党大会は、党が将来の有望株と見なす人材にスポットライトを当てる重要な機会でもある。ただ、この機会を2004年のバラク・オバマ氏ほど見事に活用した人物は少ない。当時、知名度の低いイリノイ州議会上院議員だったオバマ氏は、演説で政治の2極化を批判。この基調演説をきっかけに同氏は4年後の大統領選出を手に入れた。

民主党は今年、党が期待の星と位置づける若手政治家17人に場を与える。今回副大統領候補に一時有望視された元ジョージア州議会下院議員のステイシー・エイブラムズ氏もその1人だ。同氏は18日に基調演説で登壇する。

<支持率押し上げ効果>

何日にもわたる党大会がテレビ中継され続けることで、通常は民主、共和両党とも大会後は世論調査支持率が少し上昇する。しかし、その効果は短命なことがほとんどで、上昇幅もだんだん小さくなっている。米国の政治の2極化が背景とされる。

カリフォルニア大学サンタバーバラ校のアメリカン・プレジデンシー・プロジェクトが世論調査の平均値を調査したところによると、2016年は党大会後の支持率上昇が民主党のヒラリー・クリントン候補で2%(ポイント)、トランプ候補で3%だった。

党大会後の支持率上昇が民主、共和間で2%以上開いたのは1992年が最後だ。このときは民主党のビル・クリントン候補が16%急上昇、ジョージ・W・ブッシュ(父)(訂正)候補は5%だった。クリントン氏はこののち、本選で勝利することになる。

*記事末尾の「ジョージ・W・ブッシュ(子)」を「ジョージ・W・ブッシュ(父)」に訂正します。